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訪問連だよりvol.15 男はつらいよ・寅次郎暗殺鍋

日々の業務お疲れ様です! 連絡会がなんとなく! 雑談を! お届けします。

世間は今日は仕事納め! ぜったい仕事納められない皆さんを当会は応援しています!

…ブログの中の人も年末年始サービスロードを駆けていきます…!

さて。なんでも来年『男はつらいよ』の新作が公開されるそうですね。

流れるニュースを見ながらご利用者と「へぇ~」と顔を見合わせてしまいました。

最新映像技術を駆使して寅さんの映像を生き生きとよみがえらせ、 ストーリーとしては彼亡き後の親族たちのそれぞれを描く…といったものだそうです。

んで、まめちしき。

寅さんこと名優・渥美清さんは句集『赤とんぼ』を出版されるほど熱心に俳句をする人でした。 (俳人のペンネームである俳号は『風天』!!)

御作を拝見すると

いま暗殺されて鍋だけくつくつ(渥美清)

…! 鍋をつつこうとしたところで殺された、まだ鍋は煮えているのにその人の命は無い。

なんといいますか、映画の寅さんのイメージよりずいぶんエッジの効いた作風ですね…

びっくりしちゃうけど、静かなのに暴力的な魅力です。

五七五のリズムより自分の言語感覚を重んじた音律も特徴です。(自由律俳句の尾崎放哉や種田山頭火への傾倒もあったそうな)

で、彼のもっとも評価の高い句の一つがこちらです。ここでようやく介護っぽい話題になりまーす

コスモスひょろりふたおやもういない(渥美清)

茎の細いはかなげなコスモスの姿を「コスモスひょろり」と端的に、すこしのおかしみをもって描き、 その頼りない姿に重ねたのが「ふたおやもういない」。

無駄のない言葉選びと「コスモス」「両親を亡くした寂しさ」の取り合わせの妙が効いています。

こんな感じで老親の死・老いを描いた詩は大昔からたーくさんありますよねー。

詩の形式が短い短歌や俳句になると、とりあえずのとっかかりが良くて作りやすいみたい。

介護テーマの俳句や短歌のイベントも今はたくさんありますね。

NHK教育の番組『ハートネットTV』や地方自治体の催し物などでも募集がみられます。

病人の苦しさや、故人となった家族への哀惜の念、ちょっとクスッとくる

「介護あるある」などを市井の介護家族が詠んでいる作品をたくさん読むことができるのですが…

今回は現代の歌人が詠む高齢者の姿を取り上げていきまーす。

今週は介護関係の取材がマジできませんでした(本音)

「介護あるある」的作品は、要介護者を抱えた家族がある日、詩と出会って生む作品。

素朴な共感と手放しの感情表現に満ちています。

それに対して日々作品を作り続ける詩人がある日、要介護者を抱えたり出会ったりして生んだ作品。 これには冷静な観察眼で「あるある」を突き抜けていく妙味があります。

試食用のさくらんぼ食(は)む老人を嫁らしき人連れて帰りぬ(米沢義堂)

徘徊…? 

試食コーナーから家族(?)に連れ戻されるらしい高齢者を描いていますが

「嫁らしき人」という言い回しにユーモアと観察がみられます。

会う人みんな顔見知りの村の話ではない、試食コーナーの他人同士。

老人を連れていくやりとりなどで「嫁らしき」人と作者は判断したのでしょう。

ヘルパーさんほど丁寧な応対ではないけど、実の娘ほどの近しさでもない。

そんな人に、試食をやめさせられてどこかへ連れていかれる老人は、 たぶん介護を要する状態なのだろう…と想像されます。

サラッと詠まれてますが『嫁らしき人』というフレーズの冷静さは、私たち 介護の専門職の視点にちょっと近いかなとも思われました。

さくらんぼ、買わないのにいっぱい食べちゃったらいけないですよねー。

四百円の焼鮭弁当この賞味期限の内に死ぬんだ父は(藤原秀憲)

父の介護をおもに描いた歌集『すずめ』より高名な一首。

お父様はあと数日(いや、一両日くらいかな)のうちに亡くなると宣告されたのでしょう。

命の期限を示されたとき、残り時間というものがひどく鮮やかになりますが

その切実さ、苦しみが心から去らないさまを

「四百円の焼鮭弁当の賞味期限の中に父の余命を見出す」

ものと表現して見事です。言いっぱなしのような話し言葉調がリアル。

父の中の小さき父が一人づつ行方不明になる深い秋(小島ゆかり)

これは介護職の方にはざらりとした手触りが感じられるのでは…

そう。認知症のお父様を詠んだ歌です。(うつ病も患っていたそうです)

今までできていた事をひとつづつ失っていくご利用者を見守る時、

ヘルパーさんと報告を交わしながらなんともいえない沈黙が訪れるときがあります。

ヘルパーさん「〇〇さん、お正月ですねーって話しても『んー』…って。それだけなの今は」 サービス提供責任者「サービス始まったころは色々話が出ていたよねー。お正月の準備とか…」 ふたり「…ねー…」

サービスの経過をひと通り確認をして、これからのサービスの展望を話し合って、

それでも後に残る「もやもや」。

そこをすくいとるのが得意なのが詩という物なのでしょう。

それでも私たちは! もやもやは置いといて! 日々のサービス行ってまいりましょう! レッツアセス! レッツサービス!

そんなところで今回はおわり!

今年も大詰めとなりました。来週の更新はお休みー!

再来週またお会いしましょう!

それでは皆さま今日の業務お気をつけて! 行ってらっしゃい!

よいお年をー!

〇今年の反省。このページに飾ろうとしてクリスマスリースコンテストの様を撮影したのに『葬式花輪展』感ハンパない写真に…! 写真下手すぎ問題への対応は次年度に先送りします…!

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